糖尿病とうまく付き合うための心のケア
—患者さんとの対話から見えてくること—
こんにちは。医療法人煌仁会 森川内科クリニックの院長、森川髙司です。
日々診察室で患者さんと向き合っていると、血糖値やお薬のこと以上に、心の奥深くにある不安や悩みに触れる機会が多くあります。
先日、50代の男性患者さんがふとこうおっしゃいました。
「先生、数値は改善してるんですが……なんだか毎日が重く感じるんです。この病気と一生付き合うと思うと……」
この言葉を聞いたとき、改めて気づかされたことがあります。
糖尿病は確かに「病気」ですが、それだけではなく、**“生き方を見つめ直すきっかけ”**にもなりうるのだと。
「なぜ自分が?」という気持ちを受け止める
糖尿病と診断された瞬間、多くの方が「どうして自分が?」という思いにとらわれます。
それはごく自然な感情であり、無理に打ち消す必要はありません。私自身、もし立場が逆だったら、同じように感じると思います。
大切なのは、その気持ちを否定せず、正直に受け入れること。そして、それを一人で抱え込まないことです。
診察の中で、ご家族に心配をかけまいと悩みを打ち明けられずにいる方をよくお見かけします。
けれど、家族という存在は、思っている以上にあなたの力になりたいと願っているものです。
小さな変化の中にある、大きな気づき
ある患者さんは、診断直後に「もう何も楽しめない」と深く落ち込んでおられました。
ところが、3ヶ月後の診察ではこう話してくださいました。
「先生、散歩を始めてから、季節の移ろいに気づくようになったんです。
桜のつぼみが膨らんでいるのを見つけた時、なんだか嬉しくて……」
これは特別な話ではありません。糖尿病の管理の一環として始めた小さな習慣が、やがて心の豊かさに繋がっていくことは珍しくないのです。
血糖値の改善はもちろん大切ですが、日々の小さな喜びや発見こそが、病と前向きに向き合う力になっていきます。
「完璧」じゃなくていい。心に余白を
私が患者さんにいつもお伝えしているのは、「100点を目指さなくても大丈夫です」ということ。
たとえば、血糖値が一時的に上がってしまった日があっても、食事制限が守れなかった日があっても、それでこれまでの努力が無駄になるわけではありません。
ある女性の患者さんが、申し訳なさそうに言われました。
「先生、昨日ケーキを食べてしまって……」
詳しくお話を伺うと、それはお孫さんの誕生日を家族でお祝いした、温かい時間だったのです。
「それは素敵な時間でしたね。血糖値は少し上がったかもしれませんが、心は満たされたのではないでしょうか?」
そうお伝えしたとき、その患者さんの表情がふっとやわらぎ、笑顔がこぼれました。
数字だけでは測れない幸せも、健康には大切な要素なのです。
ともに歩むパートナーとして
糖尿病の治療は、医師と患者さんがともに歩む“チームワーク”です。
私は「治す」ことだけを目指す医師ではなく、一緒に人生を歩むパートナーでありたいと願っています。
体調が良い日も、そうでない日も、どんな時でも遠慮なくご相談ください。
血糖値やお薬の話だけでなく、日常のささいな心配事や小さな喜びも、ぜひ聞かせてください。
時に厳しいことを申し上げるかもしれません。
でもそれは、あなたの健康と幸せを本気で願っているからこそ。
私は、どんなときもあなたの気持ちに寄り添い続けます。
最後に
糖尿病は、確かに長く付き合っていく必要のある病気です。
けれど、それが人生のすべてではありません。
この病気をきっかけに、より健康的に、より充実した日々を歩まれている患者さんがたくさんいらっしゃいます。
もし今、不安や悩みを一人で抱えておられるなら、どうぞ気負わずにご相談ください。
あなたのペースで、あなたらしい方法で、糖尿病と上手に付き合っていく道を一緒に見つけていきましょう。
診察では、血糖値や薬のことはもちろん、日々のささやかな変化や心の声にも、しっかりと耳を傾けます。
あなたが毎日を笑顔で過ごせるよう、全力でサポートいたします。
まずは、どうぞお気軽にご相談ください。
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