⑥睡眠時無呼吸症候群
主な治療法と対策
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療方針は、診断の結果や症状の重さに応じて決定されます。
中等症以上では医療機器を使った治療が推奨されますが、軽症や特定の構造的要因が関係する場合には、
マウスピースや生活習慣の改善だけでも効果が期待できます。ここでは、代表的な治療法と対策を見ていきましょう。
1. CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)
仕組み
CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)療法は、就寝時に鼻に装着するマスクから一定の空気圧を送り込み、
気道が閉塞しないように保つ方法です。現在、最も広く普及している標準治療で、中等症〜重症のOSA(閉塞性睡眠時無呼吸)患者に特に有効です。
効果
- 無呼吸・低呼吸の回数を大幅に減少
- 睡眠の質が改善し、日中の眠気や疲労が軽減
- 高血圧・糖尿病など生活習慣病のコントロールにも好影響
注意点
- 慣れるまで違和感を覚える人が多い
- 毎晩継続して使わなければ効果は持続しない
- 定期的なメンテナンスや通院が必要
💡 日本では保険が適用され、月数千円程度でレンタル使用が可能な点もメリットです。
2. マウスピース療法(口腔内装置)
概要
歯科で作成する専用の「スリープスプリント」を装着し、下顎を前に出すことで気道を広げる方法です。
適応例
- 軽症〜中等症のSAS患者
- CPAPにどうしても慣れない人
- 出張や旅行時の代替手段を探している人
利点
- 携帯しやすく、取り扱いがシンプル
- 機械音が出ないため、同居家族への配慮が可能
注意点
- 保険適用には医師の診断書が必要
- 顎関節や歯列への影響が出る場合がある
➡️ マウスピースは、睡眠歯科や睡眠専門医療機関で作成可能です。
3. 生活習慣の改善
SASの発症や悪化には生活習慣が深く関与します。特に軽症の場合は、習慣を見直すだけで無呼吸の回数が大幅に減ることもあります。
推奨される改善策
- 減量(BMI25未満を目標に) → 首周りの脂肪減少で気道の圧迫を軽減
- 禁酒・節酒 → アルコールは筋肉を緩め、気道を塞ぎやすくする
- 禁煙 → 気道の炎症を抑え、鼻づまりやいびきを改善
- 寝る姿勢を工夫(横向き推奨) → 舌の沈下を防ぎ、気道を確保
- 規則正しい生活リズム → 深い睡眠を確保し、症状を軽減
治療は「続けること」が最大のポイント
CPAPやマウスピースは、毎晩欠かさず使い続けることで初めて効果を発揮します。
途中でやめてしまえば、再び睡眠の質は悪化し、合併症リスクも残ったままです。
生活習慣の改善も同様で、一朝一夕では結果は出ません。
👉 医師と相談しながら、中長期的に取り組む姿勢が健康維持の鍵となります。
次の章では、「放置するとどうなるか?知られざる合併症リスク」について解説します。