糖尿病と診断されたあなたへ
不安を和らげる「最初の一歩」とは?
こんにちは。
医療法人煌仁会 森川内科クリニック院長の森川髙司です。
「糖尿病と言われました。どうしたらいいか分からなくて…」
「この先どうなってしまうんでしょうか?」
「もう普通の生活はできないんですか?」
診察室で、こうした声を毎日のように耳にします。
糖尿病と診断された直後は、不安、焦り、恐怖――さまざまな感情が押し寄せてきます。
そのお気持ち、私も医師として、本当によく分かります。
でも、まず最初にお伝えしたいのは――
「糖尿病=人生の終わり」では決してありません。
正しい知識と向き合い方さえあれば、これからの人生は今まで以上に豊かに、前向きに過ごすことができます。
最初にしてほしいこと:深呼吸です
診断を受けたばかりの今は、頭が真っ白になったり、必要以上に怖く感じてしまったりするかもしれません。
でも、まずは深く息を吸って、ゆっくり吐いてみてください。
糖尿病は“命に関わる緊急事態”ではありません。
冷静に、一歩ずつ向き合っていけば大丈夫です。
糖尿病について最初に知ってほしい3つのこと
① 糖尿病は“特別な病気”ではありません
現在、日本では約1,000万人の方が糖尿病を抱えています。
さらに予備群を含めると2,000万人以上。
つまり、10人に1人以上が関係している「とても身近な病気」なのです。
あなたは、決してひとりではありません。
② 糖尿病は「付き合っていける病気」です
しっかりと管理すれば、健康的で充実した生活を送ることができます。
当院にも、20年以上糖尿病と付き合いながら、元気に旅行や趣味を楽しまれている患者さんがたくさんいます。
③ 医学は進歩しています
薬の種類、治療法、栄養指導――
今はあなたの**生活に合わせた“無理のない治療”**を選べる時代です。
「昔の糖尿病」とは、まったく違います。
診断されたら最初にやるべき「5つのステップ」
1. 正確な情報を知る
まずは、あなたの状態をしっかり把握しましょう。
- 糖尿病のタイプ(1型?2型?)
- HbA1cの数値や血糖値
- 合併症の有無
- 他に関係しそうな病気
インターネットで調べると、恐怖をあおる情報も多くあります。
不安になったら、まずは医師に直接聞いてください。
2. あなた自身の生活を整理する
ノートやスマホにメモしてみましょう。
- 食事の時間と内容
- 仕事や家事のスケジュール
- 運動(またはその代わりになる活動)
- 睡眠の質や時間
- ストレスの原因
あなたの生活をもとに、無理なく続けられる治療を一緒に考えていきます。
3. サポートしてくれる人を見つける
- 家族、パートナー、信頼できる友人
- かかりつけ医や専門スタッフ(栄養士・薬剤師など)
「家族に心配かけたくない」と言う方もいますが、支えがあると本当に心強いです。話すだけでも気持ちはラクになりますよ。
4. 小さな目標を立ててみる
いきなり大きな目標を立てる必要はありません。
まずは “できそうなこと”から始めましょう。
- 1日10分歩く
- 野菜をもう少し増やす
- 毎食後に血糖値を測る
小さな「できた」が積み重なって、やがて大きな変化になります。
5. 定期的な通院と検査のスケジュールを決める
今後の血糖コントロールには、定期的なチェックが欠かせません。
不安なことは、遠慮なく医師に相談してください。
よくあるご相談にお答えします
Q. 「もう好きなものは食べられないのですか?」
A. いいえ、工夫すれば楽しめます。
制限ではなく「バランス」と「タイミング」が大事。
たとえば、お孫さんとケーキを食べたい60代の患者さんは、その日の他の食事を調整して、無理なく楽しんでいます。
Q. 「仕事に支障が出ませんか?」
A. 適切に管理すれば、仕事への影響はほとんどありません。
むしろ血糖値が安定することで、
「集中力が上がった」「疲れにくくなった」
という声も多いです。
Q. 「運動が苦手でも大丈夫ですか?」
A. 激しい運動は必要ありません。
散歩や買い物中の早歩き、家事も立派な運動です。
“できる範囲”で続けることが大切です。
Q. 「薬は一生飲み続けなきゃいけないの?」
A. 人によりますが、改善すれば減薬や中止も可能です。
ただし、自己判断で薬をやめるのは危険なので、必ず医師と相談してください。
実際の患者さんの変化をご紹介します
🌟 Aさん(50代男性)
診断時: HbA1c 10.2%、ショックで落ち込む
1年後: HbA1c 6.8%、ウォーキングが習慣に
現在: 地域のウォーキングサークルの中心メンバーに!
🌟 Bさん(60代女性)
診断時: 料理好きだったが「もう楽しめない」と落ち込み
半年後: 糖尿病対応レシピを考案
今では: ご家族にも「前より美味しくなった!」と喜ばれています
糖尿病を“きっかけ”に、人生が前向きになった方は本当にたくさんいらっしゃいます。
ご家族の皆さまへお願い
糖尿病と診断された方が最も求めているのは、**「理解」**です。
- 「かわいそう」と言わない
- 「食べちゃダメでしょ!」と否定しない
- 一緒に学び、支える姿勢を
「家族が寄り添ってくれたことで、治療が頑張れるようになった」
という患者さんの声は、とても多いです。
最初の1ヶ月は“基礎作りの期間”です
✅ 週1回の通院や相談
→ 疑問や不安をそのままにしないことが大切です
✅ 毎日の血糖値チェック
→ 自分の体の反応を知ることが、治療の第一歩です
✅ 食事を少し見直す
→ 「野菜を最初に食べる」「ゆっくり噛む」など、小さな変化でOK!
これからの治療の進み方
▶︎ 最初の3ヶ月:基本を身につける
- 測定の習慣
- 食事の工夫
- 無理のない運動
▶︎ 3〜6ヶ月:安定してくる時期
- 数値の傾向が見えてくる
- 必要があれば治療の微調整
▶︎ 半年以降:自分のペースで管理できる時期
- 合併症の予防
- 心も体も前向きに保つ生活へ
最後に:あなたに伝えたいこと
糖尿病と診断されたときの不安――
それは「これからの人生を大切にしたい」という気持ちの表れです。
そしてその気持ちこそが、治療を成功に導く一番の力です。
糖尿病は、あなたの人生を終わらせるものではなく、整えるチャンス。
私たち医療チームは、あなたの不安や疑問を、安心と自信に変えるサポートを全力で行います。
🍀 今日からできる、最初の一歩 🍀
- 今日の食事に、野菜を1品足してみる
- 夜寝る前に、5分だけ深呼吸してみる
- 明日、何か1つ質問を医師にしてみる
それだけで十分です。
小さな変化の積み重ねが、大きな安心と健康をもたらします。
どうか、一人で悩まないでください。
私たちが、あなたの「これから」を一緒に支えていきます。
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