「糖質=悪」ではない!
糖尿病と向き合うための“本当に正しい”糖質オフとの付き合い方
こんにちは。
医療法人煌仁会 森川内科クリニック院長の森川髙司です。
❝糖質は一切摂らない方がいい?❞
ネット情報に惑わされないために
「先生、ネットで“糖質は一切摂るべきではない”って見たんですが…」
「糖質オフの商品ばかり選んでいれば安心ですよね?」
最近、こういったご質問をいただくことが増えてきました。
“糖質制限”や“糖質オフ”という言葉が一人歩きし、
患者さん自身が本来の目的や意味を見失ってしまっているケースが多いと感じます。
今日は、糖尿病専門医として20年以上患者さんを診てきた経験から、「糖質オフ」の正しい理解と賢い付き合い方をお伝えします。
✅ 最初に知ってほしい、大切な前提
糖尿病と診断されたからといって、糖質を完全に断つ必要はありません。
実際、私の患者さんの中には、「糖質はすべて悪い」と思い込み、
極端な制限をした結果、体調を崩された方もいらっしゃいます。
糖尿病治療の本質は、糖質を“敵視”することではなく、
“うまく付き合っていく”ことにあるのです。
⚠「糖質オフ」に関する3つの誤解と真実
❌ 誤解1:糖質を摂ると必ず血糖値が急上昇する
✅ 真実:糖質の「種類・量・食べ方」で血糖値の上昇は変わる
例:
- 白米より玄米の方が血糖値の上昇はゆるやか
- サラダを先に食べてからご飯を食べるだけでも効果的
- よく噛んで、ゆっくり食べると吸収が緩やかになる
ある患者さんは「ご飯の後に必ず散歩するようにしたら、血糖値の上昇が明らかに穏やかになった」と話してくださいました。
❌ 誤解2:糖質オフの商品なら安心して食べてOK
✅ 真実:糖質オフ商品にも“落とし穴”がある
- 脂質や人工甘味料で味を補っているため、カロリーが高いことも
- 人工甘味料の過剰摂取は腸内環境を乱すリスクも
- 一般食品より価格が高く、経済的な負担にもなりやすい
実際に「糖質オフのお菓子だから大丈夫」と思い込んで食べ過ぎてしまい、かえって体重が増えてしまったという方もいらっしゃいました。
❌ 誤解3:糖質制限すれば薬はいらない
✅ 真実:糖質制限だけで全ての人の血糖コントロールができるとは限らない
糖尿病の進行度、年齢、体質、合併症の有無などによって、治療の方法は人それぞれ。
自己判断で薬を中止するのは非常に危険です。
🌾 賢く糖質と付き合うための3つのポイント
① 「量」よりも「質」を重視する
完全に糖質を断つのではなく、“良質な糖質”を選ぶことがカギです。
◎積極的に選びたい糖質:
- 玄米・雑穀米
- 全粒粉パン
- 十割そば
- さつまいも・かぼちゃ(適量)
✖避けたい糖質:
- 砂糖たっぷりのお菓子
- 清涼飲料水
- 白米・白パンなど精製された炭水化物(摂る場合は量に注意)
② 「糖質の1日配分」を意識する
糖質は摂るタイミングとバランスが大事です。
1日の合計糖質量を3食+間食に分散させましょう。
理想的な目安:
- 朝食:30~40g
- 昼食:40~50g
- 夕食:30~40g
- 間食:10g以内
→ 血糖値の“波”をなだらかに保ちやすくなります。
③ 「食べ合わせ」を工夫する
糖質単独ではなく、以下の栄養素と組み合わせることで吸収が緩やかになります。
- 食物繊維(野菜、海藻、きのこ類)
- タンパク質(魚、肉、卵、大豆製品)
- 良質な脂質(オリーブオイル、ナッツ)
💡 患者さんの変化:極端な制限 → 楽しめる食事へ
📌 Before(50代女性):
- 糖質を1日50g以下に制限
- HbA1c:7.8%
- 体重減少・疲労感・イライラ
- 「食事が楽しくない」と訴える
✅ After(3ヶ月後):
- 良質な糖質を1日120g前後に適切に摂取
- HbA1c:7.1%
- 体調・精神面ともに安定
- 「また食事を楽しめるようになった」と笑顔に
極端な制限ではなく、心身ともにバランスの取れた食事が、継続と改善につながります。
🕳 糖質制限に潜む“落とし穴”にも注意
1. 栄養バランスの乱れ
糖質を抑える反動で、脂質やタンパク質を過剰摂取してしまうことも。
これは肝臓や腎臓への負担となる可能性があります。
2. 社会生活への支障
家族との食事、友人との外食など、
極端な制限は人付き合いや日常生活にストレスを生むことも。
3. 続けられず、リバウンドのリスク
厳しすぎる制限は続けにくく、
一時的な達成感の後に「ドカ食い→血糖値悪化」の悪循環に陥るケースも見られます。
🍱 私自身の食事も“糖質とのバランス”を意識しています
私自身も日々、無理なく実践できる“糖質との付き合い方”を心がけています。
🥗 ある日の食事例:
- 朝食: 玄米おにぎり+味噌汁+納豆+サラダ
- 昼食: 十割そば+野菜の天ぷら(少量)+小鉢
- 夕食: 魚の塩焼き+野菜炒め+軽めのご飯
このような食事は、満足感もあり、血糖値も安定しやすく、心地よく続けられます。
🧭 正しい“糖質戦略”は人それぞれ
糖質の摂り方に「これが正解」という一つの正解はありません。
- 年齢や性別、体格
- 生活リズムや仕事の内容
- 糖尿病のタイプや合併症の有無
- 家族構成や食環境、経済的背景
こうした要素をすべて踏まえて、“あなたにとって”無理なく続けられる方法を一緒に考えます。
🌐 情報に惑わされないために
インターネットやSNSには、極端な糖質制限情報があふれています。
「○○を食べれば糖尿病が治る」
「糖質は1gも摂ってはいけない」
こうした情報に振り回されず、医学的根拠に基づいた知識を持つことが、何よりの武器になります。
🍽 食べることを、もう一度楽しんでほしい
糖尿病になったからといって、
食べる楽しみを諦める必要はまったくありません。
正しい知識と、あなたに合った方法があれば、
「美味しく、楽しく、健康的に」 食べることは可能です。
「先生のおかげで、また家族と一緒に笑顔で食事ができるようになりました」
そんな言葉をいただけることが、医師として何よりの喜びです。
✅ まとめ:糖質と“うまく付き合う”ために
- 糖質は「敵」ではなく「パートナー」
- 極端な制限より、“質”と“バランス”を意識
- 食べ方・タイミング・組み合わせを工夫
- 正しい情報と個別対応が成功のカギ
🔍 糖質制限に関するお悩み、ご相談ください
「これは食べてもいい?」
「外食のときはどうすれば?」
「運動と食事のバランスは?」
どんな疑問でも構いません。あなたの生活スタイルに合った方法を一緒に探していきましょう。
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そのサポートを、私たちが全力で行います。

