【未病だより・シリーズ第2回】
血圧の「グレーゾーン」〜正常高値を侮るなかれ
「健康診断で、血圧が130でした。でも、正常範囲内だから大丈夫ですよね?」
そんな質問を、よく受けます。
答えは、「いいえ」です。
実は、血圧が「130台」というのは、未病のサインなのです。
血圧の「正常高値」とは?
血圧は、以下のように分類されます。
至適血圧: 120/80未満(最も理想的) 正常血圧: 130/85未満 正常高値: 130〜139/85〜89(ここが未病!) Ⅰ度高血圧: 140〜159/90〜99 Ⅱ度高血圧: 160〜179/100〜109 Ⅲ度高血圧: 180以上/110以上
「正常高値」は、「正常」という言葉が入っているので、安心してしまいがちです。
でも、これは**「高血圧の一歩手前」**なのです。
Qさんの後悔
Qさん(48歳、男性)は、5年前の健康診断で血圧が135/88でした。
「正常範囲内」と書かれていたので、「大丈夫だ」と思い、何もしませんでした。
毎年、少しずつ上がり、
- 1年目:135/88
- 2年目:138/90
- 3年目:142/92
- 4年目:145/95
4年目、ついに「高血圧」と診断され、薬を飲み始めることに。
「1年目の時に、何かしていれば…」
Qさんは、後悔されています。
「正常高値」の何が問題なのか?
問題1:将来の高血圧リスクが高い
正常高値の人の約40%が、5年以内に高血圧になります。
問題2:すでに血管にダメージが始まっている
130台でも、血管には負担がかかり始めています。動脈硬化が進行しているのです。
問題3:心血管疾患のリスクが上昇
正常高値の人は、至適血圧(120未満/80未満)の人に比べて、
- 脳卒中のリスクが約1.5倍
- 心筋梗塞のリスクが約1.3倍
「正常」という言葉に騙されてはいけません。
なぜ血圧が上がるのか?
血圧が上がる主な原因:
1. 加齢
- 血管が硬くなる(動脈硬化)
2. 塩分の摂りすぎ
- 日本人の平均:約10g/日
- 目標:6g/日未満
3. 肥満
- 特に内臓脂肪
4. 運動不足
5. ストレス
6. 喫煙
7. 遺伝
- 両親が高血圧の場合、リスクが高い
8. 睡眠不足
9. 過度のアルコール
「正常高値」を放置すると…
正常高値を放置すると、こんなことが起こります。
数年後:
- 高血圧になり、薬が必要に
10〜20年後:
- 脳梗塞、脳出血
- 心筋梗塞、心不全
- 腎臓病(最悪の場合、透析)
でも、今対策すれば、これらは防げます!
「正常高値」を改善する7つの方法
嬉しいことに、正常高値の段階なら、薬なしで改善できることが多いのです。
1. 減塩(最重要!)
目標:1日6g未満
具体的には:
- 醤油、味噌は「減塩」を選ぶ
- ラーメンの汁は残す(完飲すると、塩分約5〜6g!)
- 漬物、梅干し、佃煮を控える
- 加工食品(ハム、ソーセージ、練り物)を減らす
- 外食を週2回以内に
- 調味料は「かける」より「つける」
2. 野菜・果物を食べる
カリウムが、余分な塩分を排出してくれます。
- 野菜:1日350g以上
- 果物:1日200g程度(バナナ1本、りんご半分など)
3. 適正体重を保つ
体重を1kg減らすだけで、血圧は約1mmHg下がります。
- BMI 25未満を目標
- まずは、現体重の3〜5%減から
4. 運動する
- 1日30分以上、週3回以上
- ウォーキング、自転車、水泳など
- 「ややきつい」程度
運動の効果:
- 血圧が5〜10mmHg下がる
- 肥満予防
- ストレス解消
5. 禁煙
タバコは、血圧を上げ、動脈硬化を進めます。今すぐやめましょう。
6. 節酒
適量なら問題ないですが、飲みすぎは高血圧の原因に。
- 日本酒1合、ビール500ml、ワイン200ml程度まで
- 週2日以上の休肝日
7. ストレス管理
- 十分な睡眠(7〜8時間)
- リラックスタイム
- 趣味を楽しむ
「家庭血圧」を測ろう
病院で測る血圧と、家で測る血圧は、違うことがあります。
白衣高血圧:
- 病院では高いが、家では正常
仮面高血圧:
- 病院では正常だが、家では高い(こちらの方が危険!)
だから、家庭血圧を測ることが大切です。
正しい測り方:
- 朝:起床後1時間以内、排尿後、朝食前、薬を飲む前
- 夜:就寝前
- 椅子に座って1〜2分安静後
- 2回測って平均を記録
目標:
- 家庭血圧:135/85未満
- できれば、125/80未満
Rさんの成功例
Rさん(54歳、男性)は、健康診断で血圧が138/90でした。
当クリニックを受診され、「正常高値」の説明を受け、生活習慣の改善を決意。
- 減塩(醤油を減塩に、ラーメンは月1回に)
- 毎朝30分のウォーキング
- 禁煙
- 体重を6kg減らす
3ヶ月後、Rさんの血圧は、
118/75
見事に至適血圧になりました。薬は一切使わずに。
「先生、こんなに簡単に下がるとは思いませんでした。早めに対策して良かったです。」
Rさんは、今も血圧をコントロールし、元気に過ごしておられます。
「薬を飲みたくない」という気持ち
「薬を飲むと、一生やめられないんでしょ?」
そう思う気持ち、分かります。
でも、考えてみてください。
正常高値の段階なら、薬なしで改善できることが多い。
でも、放置して高血圧になると、薬が必要になります。
つまり、「今」対策すれば、薬を避けられる可能性が高いのです。
私たちができること
当クリニックでは、正常高値の方へのサポートも行っています。
- 詳しい問診(生活習慣、食事、運動)
- 家庭血圧測定の指導
- 具体的な減塩アドバイス
- 運動プログラムの提案
- 定期的なフォローアップ
「正常高値」を見逃しません。
最後に
「まだ正常範囲内だから大丈夫」
その安心感が、危険なのです。
「正常高値」は、体からの「早めの警告」。
今、対策すれば、
- 薬なしで改善できる
- 将来の脳梗塞、心筋梗塞を防げる
- 健康寿命が延びる
「未病」のうちに、一緒に改善しましょう。
次回は、「血糖値の『グレーゾーン』〜糖尿病予備群を知っていますか?」についてお話しします。
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医療法人 煌仁会 森川内科クリニック
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06-6439-7337
※血圧が「やや高め」の方、ぜひご相談ください。
※家庭血圧の測り方も、ていねいにお教えします。

