ストレスは糖尿病の大敵!
心の負担を軽くするリラックス習慣のすすめ
こんにちは。
医療法人煌仁会 森川内科クリニック 院長の森川髙司です。
「食事も運動も頑張ってるのに…」
「先生、ちゃんと気をつけてるのに、なぜか血糖値が安定しないんです」
「仕事でイライラすると、血糖値も上がってる気がして…」
外来で、こうしたご相談をよくいただきます。
その原因のひとつに、ストレスがあります。
実はこの「見えないストレス」が、血糖値のコントロールに大きく影響していることをご存知でしょうか?
今回は、糖尿病治療の中でつい見落とされがちな“心のケア”について、今日からできるリラックス法とともにお伝えします。
なぜストレスで血糖値が上がるの?
1. ストレスホルモンが血糖を上げる
ストレスを感じると、体内で「コルチゾール」や「アドレナリン」が分泌されます。
これらは本来、緊急時に備えるためのホルモンですが、同時に血糖値を上昇させる作用もあります。
2. インスリンの効きが悪くなる
慢性的なストレスは、体がインスリンに対して“鈍感”になり、血糖が下がりにくい状態に。
3. 生活習慣が乱れやすくなる
ストレスによる暴飲暴食や睡眠不足、運動不足…
こうした“生活の乱れ”が、さらに血糖値を不安定にします。
50代の男性患者さんから、こんな声がありました:
「部署異動でストレスが増えた途端、同じ食事をしているのに血糖値が30くらい上がってしまって…」
これはまさに、ストレスの影響が“数字に出た”例です。
ケース紹介:心のケアで血糖値が大幅改善
40代の女性患者さんのお話です。
🌪 ストレス状況
- 家族の介護と仕事を両立
- HbA1c 8.3%と高め
- 食事も運動もきちんと継続
- 「頑張っているのに効果がない」と落ち込み気味
🌱 取り入れたこと
- 毎日5分の深呼吸
- 週1回、自分だけの“趣味時間”を確保
- 介護サービスの利用で負担を軽減
- 寝る前のスマホ使用をやめて睡眠改善
🌞 3ヶ月後の変化
- HbA1c:8.3% → 7.1%
- 「心が軽くなったら、血糖値まで落ち着いてきました」
心の余裕ができると、血糖値にも良い影響が出るのです。
今日からできる!「5分間のリラックス法」
① 4-7-8呼吸法
- 4秒かけて鼻から吸う
- 7秒間、息を止める
- 8秒かけて口からゆっくり吐く
- これを3〜4回繰り返すだけ
「寝つきが良くなって、朝の血圧も安定してきました」(60代男性)
② 筋弛緩法(きんしかんほう)
- 肩に力を入れて5秒 → スーッと脱力
- 同様に、手・足・顔などにも順番に実施
体の緊張を解いていくことで、心までふっと軽くなります。
③ 五感リラックス法
- 視覚:お気に入りの風景写真や絵を眺める
- 聴覚:自然音やクラシック音楽を聞く
- 嗅覚:アロマやお香を使って香りで癒す
- 触覚:柔らかい毛布やクッションに触れる
- 味覚:温かいお茶や出汁を“ゆっくり味わう”
④ 感謝の瞑想
- 今日あった「小さなよかったこと」を3つ思い出す
- 「ありがとう」と心の中でつぶやく
「たった2〜3分で、不安な気持ちが和らぎます」(70代女性)
⑤ イメージ療法
- 目を閉じて、海・森・温泉など“心が落ち着く場所”を想像する
- その風景の中にいる自分をイメージして、5分ほど浸ってみましょう
家の中でも、できることはたくさんあります
🛁 お風呂タイムの見直し
- 38〜40度のお湯に15分
- アロマや入浴剤で香りも楽しむ
- スマホは持ち込まず「自分だけの時間」に
💤 睡眠の質を整える
- 寝る1時間前はスマホやTVをOFF
- 部屋を暗くして静かな空間を
- 好きな音楽や自然音を流して心を落ち着ける
🎨 趣味の時間を意識的に確保
- 1日15分でもOK
- 読書・ガーデニング・音楽・絵・料理など
「好きなことに没頭できる時間」は、最高のストレス解消法です
職場でもできる“ミニ対策”
🔁 1時間に1回の深呼吸
→ デスクでも、トイレでも、30秒でOK
☕ 休憩時間の「心の栄養補給」
- 同僚と気軽な雑談をする
- お気に入りの音楽を1曲だけ聴く
- 外の空気を吸いに出る
🏠 帰宅時間を「切り替えの時間」に
- 電車内では目を閉じて軽く呼吸を整える
- イヤホンで好きな音楽を聴きながら歩く
私自身も実践しています
医師という職業も、実はストレスの多い仕事です。
私自身も、以下のように“意識的な心のケア”をしています。
- 朝: 起きてすぐの5分間呼吸法、窓の外を見ながらコーヒー
- 診察中: 患者さんとの会話に集中し、雑念から距離を取る
- 帰宅後: 家族との会話、軽い音楽、読書でリラックス
心が整うと、診察にも集中でき、笑顔も増えると感じています。
ストレスと“うまく付き合う”3つの考え方
① 完璧主義はストレスの元
「血糖値を完璧に管理しなきゃ」と思いすぎると、かえって苦しくなります。
→ 「今日は少し高くても、また明日調整すれば大丈夫」と柔軟に考えてOKです。
② 小さな“できた”を認めよう
「今日はゆっくりご飯が食べられた」
「深呼吸を忘れずにできた」
→ そんな小さな成功を、ぜひ自分で褒めてあげてください。
③ 一人で抱え込まない
悩みは、口に出すだけでラクになります。
→ 家族、友人、私たち医療者に、どうぞ気軽に相談してください。
ご家族のサポートも、とても大切です
ご家族ができるサポート例
- まずは話を否定せずに聞くこと
- 一緒にリラックス法に取り組む
- 食事制限を家族全体で協力する
- 外に一緒に出て軽く体を動かす
「家族が理解してくれたことで、心がとても軽くなった」
という患者さんの声を、私は何度も聞いてきました。
専門的なサポートが必要なときもあります
以下のような症状が続いている場合は、遠慮なくご相談ください。
- 2週間以上、眠れない日が続く
- 食欲がまったくわかない
- 何をしても楽しく感じない
- 血糖値のことが頭から離れない
必要に応じて、心療内科やカウンセラーの専門サポートもご案内しています。
「ストレス日記」で、心の変化を“見える化”
書く内容の例
- 今日のストレス度(1〜10点)
- ストレスを感じた場面
- 実践したリラックス法
- 血糖値の変化
- 今日の気分や体調
→ 書くことで、自分の感情と上手に向き合えるようになります。
リラックスの効果が出るまでの目安
- 深呼吸など:数分で効果を感じる人も
- 習慣化:2〜4週間で変化が実感できることが多い
- 血糖値への影響:1〜3ヶ月で明らかな差が出る方もいます
心と体、両方の健康を大切に
糖尿病の治療は、血糖値を下げることがゴールではありません。
「体と心のバランスを整えて、あなたらしい毎日を過ごせること」が本当の目標です。
小さなリラックス法からでかまいません。
ストレスと上手につきあいながら、無理なく血糖値を整えていきましょう。
あなたの笑顔が、何よりの薬です。
ストレスのことも、血糖値のことも、どんな悩みでもお聞かせください。
一緒に、心も体も軽やかな毎日をめざしましょう。
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