🧠「物忘れ」と「認知症」はどう違うの?
──身近なお買い物エピソードでチェックしてみましょう
「最近、忘れっぽくなったわ…」
「何をしようとしてたか、思い出せないの」
「もしかして、これって認知症かしら?」
年齢を重ねるにつれ、誰でも“物忘れ”が気になるようになります。
そんな時、「認知症だったらどうしよう…」と不安になる方も多いですよね。
でも実は、「年相応の物忘れ」と「認知症のはじまり」は、似ているようで大きく違うんです。
この違いを知っておくことは、とても大切なこと。
早めに気づけば、早めに対応できる。そして、進行を遅らせることもできるんです。
今日は、日常生活の中でも特にわかりやすい「お買い物」を例に、
物忘れと認知症の違いについて、一緒に見ていきましょう。
◆ 「年相応の物忘れ」とは?
まずは、**加齢によって誰にでも起こる自然な“物忘れ”**について。
🛒 スーパーでの場面を例に考えてみましょう:
- 「あれ、何を買いに来たんだっけ?」
→でも、メモを見れば「あ、お豆腐だった!」と思い出せる - 「夕飯に何を作ろうと思ってたか忘れちゃった」
→家に帰って冷蔵庫を見て「あ、カレーの材料だった」と気づける - 「あの人、誰だっけ?」
→名前は出てこなくても、「○○さんのお隣の方」と関係性は分かる
✅ ポイントは:
- 「忘れていること」に自分で気づける
- ヒントやきっかけがあれば思い出せる
- 大切な記憶(家族・日常生活)はしっかり残っている
- 日常生活に大きな支障はない
「物を置いた場所がわからない」「人の名前が出てこない」などは、年を重ねた誰にでもあること。
過度に心配する必要はありません。
◆ 「認知症の始まり」の特徴は?
一方で、認知症が始まると、忘れ方の質が変わってくるんです。
🛒 同じくスーパーでの場面で考えてみましょう:
- 「買い物に来たことそのものを忘れる」
→「私、なんでここにいるの?」と混乱する - 「同じものを何度も買ってしまう」
→冷蔵庫にお豆腐が3つも4つも。でも本人に記憶はない - 「お金の計算ができなくなる」
→レジで支払いに手間取り、お釣りもよく分からない - 「帰り道がわからなくなる」
→いつも行くスーパーでも、帰る道に迷ってしまう
⚠️ ポイントは:
- 「体験そのもの」を忘れてしまう
- ヒントがあっても思い出せない
- 忘れていることに自分で気づいていない
- 日常生活に影響が出はじめている
◆ 「何を」より「どう」忘れたかが大切です
違いが見えにくい時は、“忘れ方の質”に注目してみましょう。
例①:食事について
- 年相応の物忘れ:
「昨日の夕飯、何食べたか思い出せない」
→でも、「食べたこと」は覚えている - 認知症:
「さっきご飯食べたでしょ?」
→「え?食べてない!」と食べた記憶自体がない
例②:約束について
- 年相応の物忘れ:
「今日の病院、何時だったかな?」
→約束の存在は覚えていても、時間を忘れる - 認知症:
「病院の予約あるよ?」
→「そんな約束してない」と約束自体を覚えていない
例③:テレビを見ていて
- 年相応の物忘れ:
「この俳優さん、名前が出てこないわ」
→顔は分かるし、過去に見た記憶もある - 認知症:
「このドラマ初めて見るわね」
→実は毎週見ていても、それを忘れている
◆ 認知症の初期に見られる生活の変化
日常の中で、次のような変化が出てきたら要注意です。
1. お金の管理が難しくなる
- お釣りが合わない
- ATMが使えない
- 支払い忘れや二重払いが増える
2. 料理の失敗が増える
- 味付けを間違える(塩を入れ忘れる、入れすぎる)
- 手順がわからなくなる
- 火の消し忘れが目立つ
3. 時間・場所の認識が曖昧になる
- 日にちや時間が分からない
- 今が朝か夜か迷う
- トイレの場所がわからなくなる
4. 会話が噛み合わない
- 同じ話を何度も繰り返す
- 内容がまとまらない
- 「あれ」「それ」が多くなる
- 話題が急に飛ぶ
5. 性格の変化
- 怒りっぽくなる
- 疑い深くなる(「財布を盗まれた」など)
- 無気力になる
- 身だしなみに無頓着になる
◆ 「もの盗られ妄想」は初期サインのことも
「財布がない!誰かが盗った!」と、家族を疑う──
これを「もの盗られ妄想」といいます。認知症の初期に多く見られる症状です。
本人は「自分が忘れた」と自覚できないため、「盗まれた」と思い込んでしまうんです。
家族としては否定せず、「一緒に探してみよう」と優しく寄り添う姿勢が大切です。
◆ ご家族の方へ:こんな変化に気づいたら、受診を勧めてください
離れて暮らしているご家族と久しぶりに会った時、こんな変化が見られたら要注意です:
- 同じ話を何度も繰り返す
- 同じ食品が冷蔵庫に大量にある
- 家の中が散らかっている(以前はきれい好きだったのに)
- 服装がだらしなくなった
- 薬を飲み忘れている
- 約束を忘れることが増えた
「最近、ちょっと心配だから、一度先生に相談してみようか」
「健康診断のついでに行ってみよう」など、自然な形で受診を促すことが大切です。
◆ 「認知症=絶望」ではありません
「認知症になったら、もう何もできない」──そんなふうに思っていませんか?
でも、早期に見つかれば、進行を遅らせることもできるんです。
お薬もありますし、適切なケアで生活の質を保つことができます。
「もしかして…?」と思ったタイミングこそが、受診のチャンス。
迷わずご相談ください。
◆ 認知症の検査って、どんなことをするの?
検査と聞くと「難しそう」「怖い」と感じるかもしれませんが、ご安心ください。
内容はとてもシンプルです。
🔎 主な検査内容:
- 問診:
日常生活での困りごと、ご家族の気づきなどをお聞きします。 - 認知機能検査(簡単な質問):
- 今日は何年何月何日?
- 今いる場所はどこ?
- 100−7は?(計算)
- 3つの言葉を覚えて、後で思い出せるか(記憶)
- 時計の絵を描いてください - 血液検査:
ビタミン不足や甲状腺の病気など、似た症状を引き起こす他の疾患を除外します。 - 画像検査(必要に応じて):
CTやMRIで脳の状態を確認します。
◆ 認知症は「予防」できることもあります
✅ 血管性認知症は、生活習慣の改善で予防可能!
- 高血圧、糖尿病、高脂血症のコントロール
- 定期的な血圧・血糖値のチェック
✅ 日々の暮らしでできる予防法
- 適度な運動(お散歩など)
- バランスのよい食事
- 人との会話・交流
- 頭を使う活動(読書、趣味、パズルなど)
- 禁煙
→「人とつながる」「体と頭を使う」ことが、脳を元気に保つ秘訣です!
◆ 不安がある方は、まずご相談ください
「最近、忘れっぽいのが気になる」
「これって年齢のせい?それとも認知症?」──
そう感じたら、遠慮なくご相談ください。
「心配ないですよ」と言われるだけでも、安心できます。
◆ 一人で来るのが不安な方へ
「病院に一人で行くのが心配…」という方は、どうぞご家族やご友人と一緒にお越しください。
ご家族が気づいた“ささいな変化”が、診断の手がかりになることも多いんです。
◆ 私たちがしっかりサポートします
もの忘れや認知症のご相談は、立派な受診の理由です。
早く気づいて、早く対応することが、これからの人生をより豊かにしてくれます。
認知症があってもなくても、その人らしく生きることはできます。
私たちは、あなたのその一歩を一緒に支えていきます。
どうぞ、いつでもご相談ください。
あなたらしい毎日を、これからもずっと一緒に。

