ジュースの飲み過ぎに注意|脂肪肝と糖質・果物の関係
「甘いものが好きで、毎日のようにお菓子を食べている」
「果物なら体によいと思って、たくさん食べている」
「水分補給としてジュースやスポーツドリンクをよく飲んでいる」
このような習慣はありませんか?
脂肪肝というと、
「脂っこいものを食べ過ぎるとなる病気」
と思われることがあります。
しかし、脂肪肝と関係するのは脂質だけではありません。
砂糖などを多く含む飲み物や食品を頻繁にとり、摂取エネルギーが必要以上に多い状態が続くことも、肝臓に脂肪がたまる原因の一つになります。
私は兵庫県尼崎市・JR塚口駅近くで内科を診療している、森川内科クリニックの森川髙司です。
今回は、脂肪肝と糖質の関係、ジュースや清涼飲料水で注意したいこと、果物は控えた方がよいのかについてわかりやすく解説します。
糖質は「悪い栄養素」ではありません
まず知っていただきたいのは、
糖質そのものが悪いわけではない
ということです。
糖質は私たちの体にとって重要なエネルギー源です。
例えば、
- ごはん
- パン
- 麺類
- いも類
- 果物
など、さまざまな食品に含まれています。
脂肪肝を指摘されたからといって、
「ごはんや果物など、糖質を含む食品を全部やめなければならない」
ということではありません。
大切なのは、食事全体の量やバランスです。
糖質をとり過ぎると、なぜ脂肪肝につながるの?
食事からとった糖質は、消化・吸収されたあと、主に体を動かすためのエネルギーとして利用されます。
一部はグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられます。
一方、必要以上のエネルギー摂取が続くと、余剰分が中性脂肪として蓄積されやすくなります。
肝臓では糖から脂肪を合成する働きもあるため、糖類などを過剰に摂取する食生活は、肝臓への脂肪蓄積に関係します。
ただし、
「糖質を食べたら、そのまま肝臓の脂肪になる」
という単純な仕組みではありません。
体重、運動量、総摂取エネルギー、糖尿病などの代謝状態、飲酒など、さまざまな要因が関係します。
脂肪肝で特に見直したいのが「甘い飲み物」
脂肪肝を指摘された方に、まず確認していただきたい習慣の一つが、
「普段、何を飲んでいるか」
です。
例えば、
- 炭酸飲料
- 清涼飲料水
- 果汁飲料
- 加糖コーヒー
- 加糖紅茶
- 乳酸菌飲料
- エナジードリンク
- スポーツドリンク
などには、商品によって多くの糖類が含まれていることがあります。
「食事はそれほど食べていないのに体重が増える」
という方でも、飲み物から意外に多くのエネルギーを摂取している場合があります。
なぜジュースはとり過ぎやすい?
甘い飲み物の注意点は、
飲み物なので短時間に摂取しやすいこと
です。
お菓子やごはんであれば「食べた」という意識を持ちやすい一方、
「喉が渇いたから」
「仕事中の水分補給として」
「運動したから」
と、甘い飲み物を何度も飲んでいると、知らないうちに糖類やエネルギーの摂取量が増えることがあります。
特に毎日の水分補給を甘い飲み物にしている方は、一度見直してみましょう。
「100%果汁ジュースなら健康的」は本当?
「普通のジュースはよくないけれど、100%果汁なら大丈夫」
と思っている方もいるかもしれません。
100%果汁には果物由来の栄養素が含まれていますが、糖類やエネルギーも含まれます。
また、丸ごとの果物を食べる場合と、果汁として飲む場合は同じではありません。
ジュースでは短時間に飲みやすく、丸ごとの果物と比べて食物繊維が少ない製品もあります。
そのため、
「100%果汁だから、好きなだけ飲んでも大丈夫」
とは考えない方がよいでしょう。
スポーツドリンクにも糖分は入っています
スポーツドリンクは、汗を多くかく場面などで水分や電解質を補給する目的で利用されることがあります。
一方で、商品によっては糖類も含まれています。
日常生活の水分補給として一日中スポーツドリンクを飲み続けると、糖類の摂取量が多くなる場合があります。
通常の水分補給では、
- 水
- 無糖のお茶
などを基本にし、スポーツドリンクが必要な場面かどうかを考えて使い分けるとよいでしょう。
※大量に汗をかく運動時や体調不良時などは状況が異なります。
甘いコーヒーやカフェラテも確認しましょう
意外に見落としやすいのが、
毎日飲んでいるコーヒーやカフェ系飲料
です。
ブラックコーヒーと、砂糖・シロップなどが入ったコーヒー飲料では、糖類やエネルギー量が大きく異なることがあります。
市販の商品を購入するときは、
栄養成分表示
を確認してみてください。
「100mL当たり」の表示なのか、「1本当たり」の表示なのかも確認することが大切です。
果物も脂肪肝によくない?
ここは誤解されやすいところです。
果物には糖質が含まれていますが、同時に、
- ビタミン
- ミネラル
- 食物繊維
- さまざまな植物由来成分
なども含まれています。
そのため、
「脂肪肝だから果物は禁止」
という考え方は適切ではありません。
大切なのは、量と食べ方です。
果物と果汁ジュースは分けて考えましょう
例えば、みかんを食べる場合には果肉や食物繊維も一緒に摂取します。
一方、ジュースにすると複数個分の果汁を短時間で飲めることがあります。
つまり、
「果物を食べること」と「果汁を飲むこと」は同じではありません。
脂肪肝を気にしている方が果物を取り入れるなら、ジュースとして飲むよりも、基本的には丸ごとの果物を適量食べる方が考えやすいでしょう。
果物なら、いくら食べても大丈夫?
もちろん、果物も無制限に食べてよいわけではありません。
「健康によさそうだから」と、
- 大きな果物を一度にたくさん食べる
- 毎食後に大量に食べる
- 果物に加えてジュースも飲む
- ドライフルーツを大量に食べる
といった習慣がある場合は、食事全体のエネルギー量が増えていないか確認する必要があります。
果物だけを悪者にするのではなく、
一日の食事全体の中で適量を考える
ことが大切です。
「果糖」が脂肪肝の原因なの?
甘い飲み物や砂糖などに含まれる果糖(フルクトース)と脂肪肝との関係を聞いたことがある方もいるでしょう。
果糖は主に肝臓で代謝され、過剰な摂取は肝臓での脂肪合成を促す要因になり得ます。
ただし、
「果糖=悪」「果物=脂肪肝になる」
と考えるのは単純すぎます。
特に問題になりやすいのは、砂糖や果糖を含む甘い飲み物などを習慣的に多量摂取し、総摂取エネルギーが過剰になっている場合です。
お菓子は全部やめるべき?
脂肪肝を改善するために、
「今日から甘いものを一切食べない」
と決める方もいます。
もちろん実行できる方もいますが、極端な制限がストレスになり、長続きしないこともあります。
まずは、
- 毎日食べているなら頻度を見直す
- 大袋のまま食べず、小分けにする
- 甘い飲み物とお菓子を同時にとる習慣を見直す
- なんとなく食べている間食を減らす
- 栄養成分表示を確認する
など、できることから始めてみましょう。
間食は「回数」だけでなく「量」も大切
「間食の回数が多いと脂肪肝になる」
と単純に決まるわけではありません。
重要なのは、間食によって一日の総摂取エネルギーや糖類の摂取が増え過ぎていないかです。
例えば、
「仕事中に飴を何度も食べる」
「午後にお菓子を食べて、夜にもデザートを食べる」
「間食のたびに甘い飲み物を飲む」
という習慣があれば、回数だけでなく内容や量も含めて確認してみましょう。
脂肪肝なら「糖質制限」をすればいい?
脂肪肝を指摘された方が、
「炭水化物を全部抜けばいい」
と考えることがあります。
しかし、すべての方に極端な糖質制限が必要なわけではありません。
特に、
- 糖尿病の薬を使用している
- インスリン治療をしている
- 高齢者
- 腎臓病がある
- 低栄養や筋肉量低下が心配される
といった場合には、自己判断で食事内容を大きく変更することはおすすめできません。
脂肪肝の食事療法では、特定の栄養素だけを極端に減らすのではなく、食事全体を整えて継続することが重要です。
まず何を変えればいい?実践しやすい5つのポイント
脂肪肝を指摘された方で甘いものが多い場合は、次のようなところから始めてみましょう。
1. 水分補給を水・無糖のお茶中心にする
毎日飲んでいるジュースや甘いコーヒーを減らすだけでも、習慣的な糖類・エネルギー摂取を見直せます。
2. 甘い飲み物の栄養成分表示を見る
「100mL当たり」なのか「1本当たり」なのかまで確認しましょう。
3. 果物はジュースではなく丸ごと食べる
果物を避けるのではなく、適量を意識します。
4. お菓子は量と頻度を確認する
「食べてはいけない」ではなく、毎日の習慣になっていないかを振り返ります。
5. 体重・腹囲の変化も確認する
脂肪肝は食事だけでなく、体重、運動、糖尿病などさまざまな要因と関係します。
食事だけでなく運動も大切です
脂肪肝の改善を考えるときは、
「何を食べないか」だけに集中しないこと
も大切です。
運動や日常生活での活動量を増やすことも、脂肪肝の改善に役立ちます。
例えば、
- 歩く時間を増やす
- 少し速めに歩く
- 階段を利用する
- 長時間座り続けない
- 食後に軽く歩く
など、できることから始めてみましょう。
健診で脂肪肝を指摘されたら
食生活を見直すことは大切ですが、
「ジュースをやめれば病院へ行かなくても大丈夫」
というわけではありません。
脂肪肝には、
- 肥満
- 糖尿病
- 高血圧
- 脂質異常症
- 飲酒
- 薬剤
- その他の肝疾患
など、さまざまな要因が関係します。
また、一部の方では肝線維化が進行することがあります。
健康診断で脂肪肝や肝機能異常を指摘された場合は、一度現在の肝臓の状態を確認しておきましょう。
森川内科クリニックでできること
森川内科クリニックでは、脂肪肝や肝機能異常についてのご相談を受け付けています。
必要に応じて、
- 血液検査
- 腹部超音波検査
- 血糖・HbA1cの確認
- 脂質の確認
- 肝線維化リスクの評価
- 食事・運動など生活習慣の見直し
を行います。
「甘いものを全部禁止する」といった方法ではなく、現在の食生活を確認しながら、無理なく続けられる改善方法を一緒に考えていきます。
まとめ|まずは「普段飲んでいるもの」を確認してみましょう
脂肪肝と糖質について、大切なポイントを3つにまとめます。
1. 糖質そのものが悪いわけではありません。
糖質は重要なエネルギー源です。問題になりやすいのは、糖類やエネルギーを必要以上にとる生活が続くことです。
2. 脂肪肝が気になる方は、甘い飲み物を見直してみましょう。
ジュース、清涼飲料水、加糖コーヒー、スポーツドリンクなどを日常的に飲んでいる場合、知らないうちに糖類・エネルギー摂取が増えていることがあります。
3. 果物とジュースは同じではありません。
果物には食物繊維やビタミンなども含まれます。脂肪肝だから果物を禁止するのではなく、ジュースより丸ごとの果物を適量食べることを意識しましょう。
「脂肪肝と言われたけれど、何を食べればいいかわからない」
「毎日ジュースを飲んでいる」
「果物はどれくらい食べてもいい?」
「ASTやALTも高いので心配」
このような場合は、お気軽にご相談ください。
できることから少しずつ食生活を見直し、無理なく続けていきましょう。
執筆者プロフィール
森川 髙司
医療法人煌仁会 森川内科クリニック 理事長
専門:内科・消化器内科・呼吸器内科
地域の皆様の健康寿命延伸のため、生活習慣病の予防・改善指導に力を入れています。

