散歩でも効果はある?脂肪肝と運動の関係
「運動した方がいいのはわかっているけれど、なかなか続かない」
「脂肪肝と言われたけれど、どのくらい運動すればいい?」
「ジムに通ったり、走ったりしないと意味がないの?」
「体力に自信がないので、散歩くらいから始めたい」
このような方は少なくありません。
脂肪肝、特に肥満や血糖・血圧・脂質などの代謝異常と関連する**MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)**では、食生活とともに運動・身体活動を見直すことが大切です。
しかし、
「毎日激しい運動をしなければならない」
というわけではありません。
散歩やウォーキング、日常生活の中で歩く時間を増やすことも、立派な身体活動です。
私は兵庫県尼崎市・JR塚口駅近くで内科を診療している、森川内科クリニックの森川髙司です。
今回は、脂肪肝と運動の関係、散歩でも意味があるのか、どのくらい運動すればよいのか、無理なく続けるコツについてわかりやすく解説します。
運動は脂肪肝の改善に役立つ?
はい。
運動はMASLDの生活習慣改善において重要な取り組みの一つです。
体を動かすとエネルギー消費が増え、糖や脂肪の代謝にも影響します。
また、継続的な身体活動は、
- 体重管理
- 内臓脂肪の減少
- 血糖管理
- インスリンの働き
- 血圧
- 体力や筋力
などにも良い影響が期待できます。
脂肪肝を、
「肝臓だけの問題」
として考えるのではなく、全身の代謝や生活習慣を整えるという視点が大切です。
体重が減らなくても運動する意味はある?
ここはぜひ知っていただきたいポイントです。
運動を始めても、
「1か月歩いたのに体重がほとんど変わらない」
ということがあります。
すると、
「体重が減らないなら、運動しても意味がないのでは?」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、運動の効果を体重だけで判断する必要はありません。
運動・身体活動には、体重管理だけでなく、糖や脂質の代謝、心肺機能、筋力などさまざまな面で健康上のメリットがあります。
そのため、
「体重計の数字が動かない=運動の効果がない」
ではありません。
体重がすぐに減らなくても、続けることには意味があります。
散歩でも効果はある?
はい。散歩やウォーキングは、始めやすい身体活動の一つです。
特に、
- これまでほとんど運動していなかった
- デスクワークが中心
- 車での移動が多い
- 体力に自信がない
- 激しい運動は苦手
という方は、まず歩く時間を増やすことから始める方法があります。
大切なのは、
「最初から完璧な運動をすること」ではなく、「今より少し多く体を動かすこと」
です。
「1日20分の散歩」からでもいい?
これまで運動習慣がなかった方なら、
まず1日10〜20分程度歩く
というところから始めてもよいでしょう。
ただし、
「20分歩けば脂肪肝が必ず改善する」
という意味ではありません。
20分はあくまで運動を習慣にするための始め方の一例です。
慣れてきたら、
「あと5分歩いてみよう」
「買い物でも歩く時間を増やそう」
など、少しずつ身体活動量を増やしていきましょう。
どのくらい体を動かせばいい?
一般的な成人の健康づくりでは、歩行またはそれと同程度以上の身体活動を1日60分以上行うことが一つの目安とされています。
「60分も運動するの?」
と驚く方がいるかもしれません。
ここでいう60分は、必ずしも、
「ジャージに着替えて60分間ウォーキングする」
という意味ではありません。
通勤、買い物、家事など、日常生活で体を動かしている時間も身体活動に含まれます。
例えば、
- 駅まで歩く
- 買い物で歩く
- 掃除をする
- 階段を使う
- 犬の散歩をする
といった活動も含めて考えます。
最初から目標に届かなくても構いません。
現在ほとんど運動していない方なら、
「今より少し多く動く」
ことから始めましょう。
「運動」と「身体活動」は少し違います
健康づくりでは、「運動」だけでなく「身体活動」も重要です。
身体活動とは、安静にしているときよりもエネルギーを使う体の動き全般を指します。
その中には、
- 通勤
- 買い物
- 家事
- 仕事中の移動
- 階段の上り下り
なども含まれます。
一方、
運動はウォーキング、ジョギング、水泳、筋トレなど、健康や体力づくりを目的として計画的に行う活動です。
つまり、
「運動する時間が取れないから何もできない」
と考える必要はありません。
日常生活の中で動く時間を増やすことも大切です。
少し息が弾むくらいのウォーキングもおすすめ
体力に余裕が出てきたら、普段の散歩より少し速めに歩く方法もあります。
目安としては、
会話はできるけれど、少し息が弾む程度
から始めるとよいでしょう。
ただし、運動に適した強度は年齢や体力、持病などによって異なります。
「速く歩かなければ意味がない」
というわけではありません。
まずは安全に続けられることを優先しましょう。
まとめて運動できなくても大丈夫?
「30分続けて歩く時間が取れない」
という方もいるでしょう。
その場合は、日常生活の中で身体活動を増やす方法を考えてみましょう。
例えば、
- 朝に10分歩く
- 昼休みに10分歩く
- 買い物で少し遠回りする
- 帰宅時に少し歩く
などです。
長時間の運動だけを特別扱いするのではなく、
一日の中で体を動かす機会を増やす
という考え方が大切です。
「座りっぱなし」を減らすことも大切
脂肪肝が気になる方に意識していただきたいのが、
長時間座り続けないこと
です。
例えば、
「朝から夕方までほとんどデスクに座っている」
「帰宅後もずっとテレビやスマートフォンを見ている」
という生活では、身体活動量が少なくなりやすくなります。
仕事などで長時間座る必要がある方も、可能な範囲で、
- ときどき立つ
- 少し歩く
- 休憩時に体を動かす
- コピーやトイレのついでに歩く
など、座っている時間を区切ってみましょう。
食後に少し歩くのも一つの方法
運動する時間を作るのが難しい場合、
食後に少し歩く
という方法も取り入れやすいでしょう。
例えば、
「夕食後に家の周りを10分歩く」
「昼食後に職場の周囲を歩く」
などです。
特に食後の軽い身体活動は、食後血糖の管理にも役立つことがあります。
ただし、糖尿病の薬やインスリンを使用している方は、運動によって低血糖が起こる場合があるため注意が必要です。
筋トレも取り入れた方がいい?
可能であれば、ウォーキングなどの有酸素運動だけでなく、筋力トレーニングを組み合わせる方法もあります。
筋トレというと、
「ジムで重いバーベルを持ち上げる」
というイメージがあるかもしれません。
しかし、自分の体重を利用した運動も筋トレです。
例えば、
- 椅子からゆっくり立つ・座る
- スクワット
- かかとの上げ下げ
- 壁を使った腕立て伏せ
など、自宅でできる方法があります。
一般的な健康づくりでは、筋トレを週2〜3日行うことが推奨されています。
ただし、筋力や関節の状態に合わせて無理のない方法を選びましょう。
脂肪肝なら毎日運動しないとダメ?
「毎日できなかったから失敗」
と考える必要はありません。
仕事が忙しい日、雨の日、体調が悪い日もあります。
大切なのは、
できなかった日があっても、そこで全部やめないこと
です。
「今日は歩けなかったから、明日は駅まで歩こう」
くらいの気持ちで、長く続けられる習慣を作っていきましょう。
運動だけすれば食事は気にしなくていい?
運動しているからといって、食生活をまったく気にしなくてよいわけではありません。
脂肪肝の改善では、
食事と運動の両方を考えること
が大切です。
例えば、
- 食べ過ぎを見直す
- 甘い飲み物を減らす
- 間食の量を確認する
- 飲酒量を確認する
- 日常の身体活動を増やす
など、複数の習慣を少しずつ整えていきます。
こんな方は運動を始める前に相談を
運動は健康づくりに役立ちますが、すべての方が同じ運動をしてよいわけではありません。
特に、
- 心臓病がある
- 呼吸器の病気がある
- 血圧がかなり高い
- 糖尿病の合併症がある
- 腎臓病がある
- 関節や腰に強い痛みがある
- 長期間ほとんど運動していなかった
- 医師から運動について注意を受けている
といった方は、運動の種類や強度について事前に相談すると安心です。
運動中にこんな症状が出たら中止しましょう
運動中に、
- 胸の痛み・圧迫感
- 強い息苦しさ
- めまい
- 失神しそうな感覚
- 強い動悸
- 冷や汗
- いつもと違う強い体調不良
などが現れた場合は、無理に続けないでください。
症状が強い場合や改善しない場合には、医療機関への相談が必要です。
体重が減らないと脂肪肝が改善したかわからない?
体重はわかりやすい指標ですが、それだけで肝臓の状態を判断することはできません。
脂肪肝の経過を確認するときには、必要に応じて、
- AST
- ALT
- γ-GTP
- 血糖・HbA1c
- 中性脂肪
- 腹部超音波検査
- 肝線維化リスク
などを確認します。
運動を続けながら、検査結果も含めて経過を見ていくことが大切です。
森川内科クリニックでできること
森川内科クリニックでは、脂肪肝や肝機能異常を指摘された方のご相談を受け付けています。
必要に応じて、
- 血液検査
- 腹部超音波検査
- 血糖・HbA1cの確認
- 脂質の確認
- 肝線維化リスクの評価
- 食事・運動など生活習慣の見直し
を行います。
「運動してください」とお伝えするだけではなく、
現在の生活の中で、どのくらいなら無理なく続けられるか
を一緒に考えていきます。
まとめ|散歩からでも大丈夫。「今より少し動く」ことから始めましょう
脂肪肝と運動について、大切なポイントを3つにまとめます。
1. 散歩やウォーキングも脂肪肝の生活習慣改善に取り入れられます。
最初から激しい運動をする必要はありません。運動習慣がない方なら、まず10〜20分程度歩くことから始め、少しずつ身体活動を増やしてみましょう。
2. 体重が大きく減らなくても、運動には意味があります。
運動・身体活動は、体重だけでなく、血糖や代謝、体力、筋力などにも良い影響が期待できます。体重計の数字だけで効果を判断しないことが大切です。
3. ウォーキングだけでなく、筋トレや「座りっぱなしを減らす」ことも意識しましょう。
日常生活で歩く時間を増やし、可能であれば筋トレも取り入れます。大切なのは、短期間頑張ることではなく、無理なく続けることです。
「脂肪肝と言われたけれど、どんな運動をすればいい?」
「体力に自信がない」
「歩いているのに体重が減らない」
「持病があるので運動してよいのか心配」
このような場合は、お気軽にご相談ください。
まずは今日から、今より少し多く体を動かすことを意識してみましょう。
執筆者プロフィール
森川 髙司
医療法人煌仁会 森川内科クリニック 理事長
専門:内科・消化器内科・呼吸器内科
地域の皆様の健康寿命延伸のため、生活習慣病の予防・改善指導に力を入れています。

