中性脂肪が高いと言われたら|甘いもの・糖質・お酒との関係
「健康診断で中性脂肪が高いと言われた」
「コレステロールとは何が違うの?」
「甘いものを食べ過ぎたから?」
「脂っこいものを控えればいい?」
このような疑問を持っている方は少なくありません。
中性脂肪は、健康診断では**TG(トリグリセライド)**と表示されることもあります。
中性脂肪が高くなる原因にはさまざまなものがありますが、食生活は重要な要因の一つです。
特に、
甘いものや甘い飲み物、糖質の摂り過ぎ、アルコール、食べ過ぎ
などが関係することがあります。
私は兵庫県尼崎市・JR塚口駅近くで内科を診療している、森川内科クリニックの森川髙司です。
今回は、中性脂肪とは何か、甘いものや糖質、お酒とどのような関係があるのか、健診で高いと言われたら何をすればよいのかについてわかりやすく解説します。
中性脂肪とは?
中性脂肪は、**トリグリセライド(TG)**とも呼ばれる脂質の一つです。
「中性脂肪=体に悪いもの」
と思われることがありますが、中性脂肪そのものは私たちの体に必要です。
食事から摂取したエネルギーのうち、すぐに使われなかった分などは中性脂肪として脂肪組織に蓄えられ、必要なときのエネルギー源として利用されます。
問題になるのは、
血液中の中性脂肪が高い状態が続くこと
です。
中性脂肪とコレステロールは違うの?
中性脂肪とコレステロールは、どちらも「脂質」ですが、同じものではありません。
コレステロールは、
- 細胞膜
- ホルモン
- 胆汁酸
などの材料になります。
一方、中性脂肪は主に、
エネルギーを蓄えておく役割
を担っています。
健康診断では、
- LDLコレステロール
- HDLコレステロール
- 中性脂肪(TG)
をそれぞれ確認します。
「脂質異常症」といっても、どの数値に異常があるかによって食事のポイントも変わります。
中性脂肪はいくつから高い?
現在の診断基準では、
空腹時の中性脂肪:150mg/dL以上
または、
随時採血の中性脂肪:175mg/dL以上
が高トリグリセライド血症の基準です。
ここで重要なのが、
中性脂肪は食事の影響を受けやすい
ということです。
健康診断の結果を見るときには、
「食事をしてから採血したのか」
「空腹時だったのか」
も確認しましょう。
また、一度の数値だけではなく、過去の健診結果や他の検査結果も合わせて評価します。
甘いものを食べると、なぜ中性脂肪が上がるの?
「中性脂肪」という名前から、
脂っこいものだけを控えればいい
と思っている方もいるかもしれません。
しかし、中性脂肪には糖質の摂り過ぎも関係します。
糖質は重要なエネルギー源ですが、必要以上に摂取してエネルギーが余る状態が続くと、体内で中性脂肪の合成につながります。
特に、
- 砂糖を多く使った菓子
- 甘い飲み物
- 甘いパン
- デザート類
などを日常的に多く摂っている場合には、食生活を見直してみましょう。
特に注意したいのが「甘い飲み物」です
中性脂肪が高い方では、まず普段の飲み物を確認してみることをおすすめします。
例えば、
- ジュース
- 炭酸飲料
- 加糖コーヒー
- 加糖紅茶
- 乳酸菌飲料
- エナジードリンク
- 砂糖やシロップを多く使った飲み物
などです。
飲み物は、
「食べた」という感覚が少ないまま糖類を摂りやすい
という特徴があります。
毎日甘い飲み物を飲んでいる方なら、
「まず水やお茶、無糖の飲み物へ置き換える」
という方法は取り組みやすいでしょう。
お菓子・ケーキ・菓子パンにも注意
甘いものには、
- ケーキ
- クッキー
- チョコレート
- アイスクリーム
- ドーナツ
- 菓子パン
- 和菓子
などがあります。
これらは糖質だけでなく、食品によっては脂質や総エネルギー量も多くなります。
だからといって、
「甘いものは一生禁止」
と考える必要はありません。
例えば、
「毎日食べているなら回数を減らしてみる」
「一度に食べる量を小さくする」
など、現在の食習慣から無理なく変えられるところを探してみましょう。
ご飯やパンも食べてはいけない?
いいえ。
中性脂肪が高いからといって、
主食を完全に抜く必要はありません。
ご飯、パン、麺などには炭水化物が含まれていますが、炭水化物は私たちの重要なエネルギー源でもあります。
問題になるのは、
必要以上に摂り過ぎている場合
です。
例えば、
- ご飯を毎回大盛りにする
- 麺とご飯をセットで食べることが多い
- 菓子パンを食事代わりに何個も食べる
- 食事に加えて間食も多い
といった場合には、全体の量を確認してみましょう。
極端な糖質制限を自己判断で始めるのではなく、食事全体のバランスを整えることが大切です。
果物ならいくら食べても大丈夫?
果物にはビタミン、ミネラル、食物繊維などが含まれています。
そのため、
「甘いから果物は全部禁止」
という必要はありません。
一方、果物には果糖などの糖質も含まれるため、たくさん食べればよいというものでもありません。
特に、
- 一度に大量の果物を食べる
- 果汁ジュースを頻繁に飲む
- ドライフルーツを大量に食べる
といった習慣がある場合には、量を確認してみましょう。
中性脂肪が高い方では、果物も「健康によいから無制限」ではなく、食事全体の中で適量を考えることが大切です。
お酒も中性脂肪に関係します
アルコールも中性脂肪を考えるうえで重要です。
飲酒量が多いと、中性脂肪が高くなることがあります。
特に、
「甘いものはほとんど食べないのに中性脂肪が高い」
という方では、飲酒習慣を確認すると原因の一つが見つかることがあります。
ビール、日本酒、ワイン、焼酎、ウイスキーなど種類だけで判断するのではなく、
アルコールそのものの摂取量と飲酒習慣
を見ることが重要です。
「糖質ゼロのお酒なら中性脂肪には関係ない」
とは限りません。
中性脂肪が高い原因は甘いものだけではありません
中性脂肪が高いと、
「お菓子を食べ過ぎたせいだ」
と考えがちです。
しかし、高中性脂肪血症には、
- 食べ過ぎ
- 肥満
- 運動不足
- 飲酒
- 糖尿病
- 甲状腺機能の異常
- 腎臓病
- 一部の薬剤
- 遺伝的な体質
など、さまざまな要因が関係することがあります。
そのため、
中性脂肪が高い=甘いものだけが原因
とは限りません。
繰り返し高い場合には、原因を確認することが大切です。
体重を見直すことも大切です
体重増加や内臓脂肪の蓄積は、中性脂肪の上昇と関係します。
特に、
- 最近体重が増えた
- 腹囲が大きくなった
- 運動する機会が減った
という方は、食生活と身体活動の両方を確認してみましょう。
ただし、
「中性脂肪を下げるために急激に体重を落とす」
必要はありません。
食事を極端に減らすのではなく、無理なく続けられる方法で適正な体重を目指します。
運動も中性脂肪の改善に役立ちます
食事だけでなく、運動も重要です。
例えば、
- ウォーキング
- 自転車
- 軽いジョギング
- 水中運動
- 日常生活で歩く時間を増やす
などの有酸素運動を取り入れる方法があります。
いきなり激しい運動を始める必要はありません。
まずは、
「今より少し多く体を動かす」
ことから始めてみましょう。
心臓病などの持病がある方や運動中に症状がある方は、運動内容について医師に相談してください。
魚を取り入れるのも一つの方法です
青魚などには、
EPA・DHAなどのn-3系多価不飽和脂肪酸
が含まれています。
これらには中性脂肪を低下させる作用があります。
肉料理に偏っている方は、魚料理も取り入れてみましょう。
ただし、
「魚を食べれば甘いものやお酒を好きなだけ摂ってよい」
ということではありません。
食生活全体を整えることが基本です。
中性脂肪が高いと何が問題なの?
中性脂肪が高い状態は、動脈硬化性疾患のリスクと関連します。
また、中性脂肪が非常に高くなると、別の注意も必要です。
特に、
空腹時の中性脂肪が500mg/dL以上
のような著明な高値では、急性膵炎のリスクにも注意する必要があります。
この場合は、
「甘いものを少し減らして次の健診まで様子を見る」
のではなく、医療機関へ相談してください。
さらに高い値の場合には、より速やかな評価や治療が必要になることがあります。
強い腹痛がある場合は注意してください
中性脂肪が非常に高い方で、
- 突然の強い上腹部痛
- 背中まで響くような強い痛み
- 繰り返す嘔吐
- 強い吐き気
などがある場合には、急性膵炎など緊急性のある病気も考える必要があります。
このような症状がある場合には、通常の健診フォローを待たず、速やかに医療機関を受診してください。
健診で高かったら、まず何をすればいい?
健康診断で中性脂肪が高いと言われたら、まず次のような点を確認してみましょう。
1. 採血は空腹時だったか
中性脂肪は食事の影響を受けます。
2. 甘い飲み物を習慣的に飲んでいないか
毎日のジュースや加糖コーヒーなどを確認します。
3. お菓子や間食が多くないか
量だけでなく頻度も確認しましょう。
4. 主食や食事全体の量が多過ぎないか
極端に抜くのではなく、過剰になっていないかを見ます。
5. お酒を飲み過ぎていないか
種類だけではなく、アルコール摂取量を確認します。
6. 最近、体重や腹囲が増えていないか
食事と運動の両方を振り返ってみましょう。
森川内科クリニックでできること
森川内科クリニックでは、
「健康診断で中性脂肪が高いと言われた」
という方のご相談を受け付けています。
必要に応じて、
- 中性脂肪(TG)
- LDLコレステロール
- HDLコレステロール
- 血糖・HbA1c
- 肝機能
- 腎機能
- その他必要な検査
などを確認します。
また、
- 食事内容
- 甘い飲み物
- 間食
- 飲酒
- 体重変化
- 運動習慣
- 服用している薬
なども確認し、中性脂肪が高くなっている原因を一緒に考えていきます。
必要に応じて生活習慣の改善だけでなく、薬による治療についても検討します。
まとめ|中性脂肪は「甘いもの」だけでなく食生活全体を確認しましょう
中性脂肪について、大切なポイントを3つにまとめます。
1. 中性脂肪は体に必要な脂質ですが、高い状態が続く場合には注意が必要です。
空腹時150mg/dL以上、随時175mg/dL以上が高トリグリセライド血症の診断基準です。
2. 甘いもの・甘い飲み物・糖質の摂り過ぎやアルコールなどが中性脂肪に影響します。
ただし、糖質をすべて抜く必要はありません。食事全体の量とバランスを整えることが大切です。
3. 中性脂肪が著しく高い場合は、食事だけで様子を見ないことが大切です。
特に空腹時500mg/dL以上では急性膵炎のリスクにも注意し、医療機関へ相談しましょう。
「中性脂肪だけが毎年高い」
「甘いものは食べないのになぜ高いの?」
「お酒を減らした方がいい?」
「何を食べればいいかわからない」
このような場合は、お気軽にご相談ください。
中性脂肪を改善するために、すべてを一度に禁止する必要はありません。
まずは自分の食生活の中で、どこを変えればよいのかを知ることから始めましょう。
執筆者プロフィール
森川 髙司
医療法人煌仁会 森川内科クリニック 理事長
専門:内科・消化器内科・呼吸器内科
地域の皆様の健康寿命延伸のため、生活習慣病の予防・改善指導に力を入れています。

