運動はコレステロールにも効果がある?無理なく続ける運動のコツ
「健康診断でコレステロールが高いと言われ、運動するように言われた」
「運動した方がいいのはわかるけれど、何をすればいい?」
「体力に自信がない」
「毎日30分も運動するのは難しい」
このように感じている方は少なくありません。
運動というと、
「ジョギングやスポーツをしないと意味がない」
と思われるかもしれません。
しかし、必ずしも激しい運動から始める必要はありません。
ウォーキングをはじめ、日常生活の中で体を動かすことも大切です。
私は兵庫県尼崎市・JR塚口駅近くで内科を診療している、森川内科クリニックの森川髙司です。
今回は、運動とコレステロール・中性脂肪の関係、どのような運動をどのくらい行えばよいのか、無理なく続けるためのポイントについてわかりやすく解説します。
運動は脂質異常症の改善に役立ちます
脂質異常症では、食生活とともに運動も重要な生活習慣の一つです。
定期的に体を動かすことは、
- 中性脂肪(TG)の低下
- HDLコレステロールの上昇
- LDLコレステロールの改善
- 体重・内臓脂肪の管理
などに役立つことがあります。
さらに、
- 血圧
- 血糖
- 心肺機能
- 筋力
などにもよい影響が期待できます。
つまり、
運動は「コレステロールの数字だけを下げるため」に行うものではありません。
将来の動脈硬化性疾患を予防し、全身の健康を維持するための生活習慣として考えることが大切です。
特に中性脂肪やHDLへの効果が期待できます
運動を継続することで、脂質代謝が改善することが知られています。
特に、
中性脂肪を下げることや、HDLコレステロールを上げること
が期待できます。
HDLは、末梢組織などから余分なコレステロールを回収して肝臓へ運ぶ働きに関係しているため、一般に「善玉コレステロール」と呼ばれています。
ただし、
「運動すればHDLが必ず上がる」
というわけではありません。
効果には個人差があり、運動量、体重変化、食生活、遺伝的な体質などによっても異なります。
LDLコレステロールも運動だけで下がる?
LDLコレステロールについては、少し注意が必要です。
運動によってLDLコレステロールが改善することはありますが、
運動だけでは十分に下がらない方もいます。
LDLコレステロールには、
- 食生活
- 遺伝的な体質
- 年齢
- ホルモン
- 他の病気
など、さまざまな要因が関係しているからです。
そのため、
「毎日歩いているのにLDLが下がらない」
からといって、運動に意味がないわけではありません。
運動には血圧、血糖、体力、体重管理などさまざまな健康効果があります。
一方で、LDLが高い方では食生活の見直しや、必要に応じて薬による治療も組み合わせます。
激しい運動をする必要はありません
脂質異常症の運動というと、
「毎日走らないといけない」
と思う方もいるかもしれません。
その必要はありません。
取り入れやすいのは、
ウォーキングなどの有酸素運動
です。
目安になるのは、
「話しながら続けられる程度」
の運動です。
速歩、サイクリング、水中歩行なども選択肢になります。
重要なのは、一度だけ激しい運動をすることではなく、
自分の体力に合わせて定期的に続けること
です。
「1日20分歩く」から始めてもいい?
もちろん構いません。
これまでほとんど運動していなかった方が、
「明日から毎日1時間歩こう」
とすると、負担が大きく長続きしないことがあります。
そのような方なら、
まず10~20分程度のウォーキングから始める
という方法があります。
慣れてきたら、
「あと5分歩いてみよう」
「週末は少し長く歩いてみよう」
と徐々に増やしていきます。
10~20分はあくまで始めるための一例であり、「20分歩けば十分」という意味ではありません。
どのくらい体を動かせばいい?
健康づくりのための一般的な目安として、成人では、
歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日合計60分以上
が推奨されています。
これは、
「毎日60分のウォーキングをしなければならない」
という意味ではありません。
通勤、買い物、家事、仕事中の移動なども身体活動に含まれます。
また、運動としては、
息が弾み、汗をかく程度の運動を週60分以上
行うことが健康づくりの目安の一つです。
脂質異常症については、定期的な中強度の身体活動を週150分以上行うことなどが目安として示されています。
現在ほとんど体を動かしていない方は、いきなり目標を達成しようとする必要はありません。
「今より少しでも多く動く」
ところから始めましょう。
日常生活の中で運動量を増やす方法
「運動する時間をつくれない」
という方も多いでしょう。
その場合には、日常生活の中で体を動かす機会を増やしてみましょう。
例えば、
- 買い物では少し遠くに車や自転車を置く
- 一駅分だけ歩く
- エレベーターではなく階段を使う
- 昼休みに少し歩く
- 家事で積極的に動く
- テレビを見ながら足踏みする
- 犬の散歩を少し長くする
などがあります。
特別なスポーツを始めなくても、身体活動を増やすことはできます。
「座りっぱなし」を減らすことも大切です
運動時間だけでなく、
長時間座り続けないこと
も意識してみましょう。
例えばデスクワークで何時間も座り続けている方なら、
- ときどき立つ
- 少し歩く
- コピーや飲み物を取りに行く
- 軽く体を動かす
など、座っている時間をこまめに中断してみましょう。
「運動する時間がないから何もできない」
ではなく、
座っている時間を少し減らす
ことも一つの方法です。
筋トレも取り入れてみましょう
脂質異常症の運動は、ウォーキングだけではありません。
筋力トレーニングも選択肢になります。
例えば、
- 椅子からの立ち座り
- スクワット
- かかとの上げ下げ
- 壁を使った腕立て伏せ
など、自宅でできる運動もあります。
一般的な健康づくりでは、
筋力トレーニングを週2~3日
行うことが推奨されています。
ただし、最初から高い負荷をかける必要はありません。
年齢、体力、膝や腰の状態などに合わせて調整しましょう。
有酸素運動と筋トレ、どちらがいい?
「ウォーキングと筋トレ、どちらをすればいいですか?」
と聞かれることがあります。
どちらか一つだけを選ぶ必要はありません。
可能であれば、
有酸素運動+筋力トレーニング
を組み合わせるとよいでしょう。
例えば、
「普段はウォーキングをして、週に2回程度は自宅で軽い筋トレをする」
という方法もあります。
ただし、最初から完璧な運動メニューを作る必要はありません。
まずは続けられるものから始めましょう。
高齢の方も運動した方がいい?
高齢の方でも、身体状況に応じた運動や身体活動は大切です。
一般的な目安として高齢者では、
歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日合計40分以上
が推奨されています。
さらに、
- 筋力
- バランス
- 柔軟性
などを組み合わせた運動も重要です。
ただし、転倒の危険性や持病、関節の状態などによって適切な運動量は異なります。
「年齢に関係なく全員同じ運動をすればいい」わけではありません。
安全に続けられる方法を選びましょう。
運動を始める前に相談した方がよい場合は?
脂質異常症があるからといって、全員が運動前に特別な検査を受ける必要があるわけではありません。
一方、
- 心臓病がある
- 運動すると胸が痛む
- 少し動いただけで強い息切れがある
- めまいや失神がある
- 血圧が著しく高い
- 膝や腰などに強い痛みがある
- 糖尿病の合併症がある
といった場合には、運動を始める前に医師へ相談してください。
体調や持病に合わせた運動方法を考えることが大切です。
運動中にこんな症状が出たら中止してください
運動中に、
- 胸の痛み・圧迫感
- 強い息苦しさ
- めまい
- 意識が遠くなる感じ
- 動悸が強く続く
- 冷や汗
- 強い関節痛
などが現れた場合には、運動を中止してください。
胸痛や呼吸困難、意識障害など症状が強い場合には、救急受診が必要になることがあります。
「健康のためだから」と無理をして続けないことが大切です。
コレステロールの薬を飲んでいる方へ
脂質異常症の治療で、スタチンなどの薬を服用している方もいます。
スタチンでは、まれに筋肉に関する副作用が起こることがあります。
運動後の軽い筋肉痛は珍しくありませんが、
これまでにない強い筋肉痛や筋力低下などが続く場合
には、自己判断で薬を中止せず、処方した医師へ相談してください。
運動していれば食事は気にしなくていい?
残念ながら、
「運動しているから何を食べても大丈夫」
というわけではありません。
脂質異常症の管理では、
- 食生活
- 運動
- 体重
- 喫煙
- 飲酒
などを総合的に考えることが大切です。
また、動脈硬化性疾患のリスクが高い方では、生活習慣の改善に加えて薬による治療が必要になる場合があります。
運動は大切ですが、治療のすべてを置き換えるものではありません。
続けるためのコツは「完璧を目指さないこと」
運動で最も難しいのは、
続けること
かもしれません。
「毎日必ず30分」
「8,000歩に届かなかったら失敗」
と考えると、続けにくくなることがあります。
例えば、
「今日は10分だけ歩く」
「買い物ではいつもより少し多く歩く」
「雨の日は家で足踏みする」
という方法でも構いません。
できなかった日があっても、そこでやめずに翌日からまた始めましょう。
ゼロか100かではなく、今より少し多く動くことを積み重ねる
という考え方がおすすめです。
森川内科クリニックでできること
森川内科クリニックでは、
「コレステロールを下げるために運動したいけれど、何から始めればいい?」
といった生活習慣についてのご相談も受け付けています。
必要に応じて、
- LDLコレステロール
- HDLコレステロール
- 中性脂肪
- 血圧
- 血糖・HbA1c
- 体重
- 持病
- 服用している薬
などを確認します。
そのうえで、現在の運動習慣や体力も確認しながら、無理なく続けられる方法を一緒に考えていきます。
まとめ|まずは「今より少し動く」ことから始めましょう
運動とコレステロールについて、大切なポイントを3つにまとめます。
1. 定期的な運動は脂質異常症の改善に役立ちます。
特に中性脂肪の低下やHDLコレステロールの上昇が期待され、LDLコレステロールの改善につながる場合もあります。
2. 激しい運動をする必要はありません。
ウォーキングなど、無理なく続けられる運動から始めましょう。現在運動していない方なら、まず10~20分程度から始め、少しずつ増やす方法もあります。
3. 有酸素運動だけでなく、筋トレや日常生活で体を動かすことも大切です。
座りっぱなしの時間を減らすことも意識してみましょう。
「運動した方がいいと言われたけれど何をすればいい?」
「体力に自信がない」
「膝や腰が痛いけれど運動できる?」
「運動しているのにLDLが下がらない」
このような場合は、お気軽にご相談ください。
運動は、一度頑張ることよりも、
自分の体調に合わせて無理なく続けること
が大切です。
できることから少しずつ始めていきましょう。
執筆者プロフィール
森川 髙司
医療法人煌仁会 森川内科クリニック 理事長
専門:内科・消化器内科・呼吸器内科
地域の皆様の健康寿命延伸のため、生活習慣病の予防・改善指導に力を入れています。

